乾癬はQOLの維持が大事なのです

疫学


乾癬は詳しい原因がいまだに不明で、完全に治すことは難しい疾患です。そこで、完全な治癒よりもQOLの向上を主に考えた治療計画が重要となります。
患者数は10万〜数十万人といわれており、これは全人口の0.1%ぐらいです。男女比は2:1ぐらいで男性の方がやや多く、男性は30〜50才、女性は10〜20才ぐらいに発症のピークがあります。
頭髪付近、肘、膝、腰背、外陰部などが好発部位と考えられています。
乾癬は他人に伝染ることはなく、遺伝性も5%程度ですので、親が乾癬でも、そのこどもが乾癬になるとは限りません。

薬物治療


現在は、ステロイドとビタミンD製剤の外用薬が治療の中心です。

ステロイドは効果発現が早く、刺激が少ないのが利点ですが、長期連用により皮膚の萎縮等の副作用が心配されます。

ビタミンD製剤は表皮角化細胞の増殖抑制や分化誘導、および炎症細胞の抑制といった効果を示します。長期連用しても副作用のリスクは少ないのですが、効果発現が遅く*1、また塗布後に刺激感を感じることがあります。


症状が重篤な場合は、IL-2等のサイトカインを抑制するシクロスポリンや、表皮細胞の角化・増殖を抑制するチガソンなどの内服薬が用いられることもあります。

ビタミンD製剤のポイント


ビタミンD製剤の外用薬には、効果に個人差*2があります。そこで、あるビタミンD製剤で効果がない場合は、他のビタミンD製剤に変更するということもよくあるようです。

また、ビタミンD製剤の中でドボネックス軟膏は伸びがあまりよくないのが特徴です。*3よくドボネックス軟膏とステロイドの軟膏の混合処方がありますが、あれはドボネックス軟膏を少しでも伸びがよくなるようにとの配慮もあるのかもしれません。

また塗布部位にも注意が必要です。現在あるビタミンD製剤のうち、ドボネックス軟膏は刺激が強いからという理由で顔面への塗布は避けるようにと添付文書にも書かれています。

まとめ


完治が難しいので、憎悪寛解を繰り返す中、QOLをいかに高く保つかがポイントになりますね。

しかしドボネックス軟膏の箱が開けにくいのはどうにかして欲しいものです。10本入りの包装を出してもいいと思うんですけどね…。

*1:2週間から4週間ほど経過した頃に効果が出始める感じ。

*2:いわゆるレスポンダー/ノンレスポンダー

*3:オキサロール軟膏はよくのびるようです。