喫煙はなぜ悪いのか
依存形成と離脱症状
“ニコチン依存症”という病名があるように、タバコはその依存性が深刻な問題となります。
他の依存性薬物に対して、離脱症状(身体的依存)や急性毒性が比較的強くないため、軽視されがちですが、依存性(心理的依存)や健康被害の度合いは、違法な薬物と同等またはそれ以上です。
離脱症状 | アルコール>ヘロイン>ニコチン>コカイン>カフェイン |
急性毒性 | アルコール>ヘロイン=コカイン>カフェイン>ニコチン |
使用者における依存性 | ニコチン>ヘロイン>コカイン>アルコール>カフェイン |
使用中止困難度 | ニコチン=ヘロイン=コカイン=アルコール>カフェイン |
耐性 | ニコチン=ヘロイン=アルコール>コカイン>カフェイン |
超過死亡 | ニコチン>アルコール>ヘロイン=コカイン>カフェイン |
また、この禁断症状(ニコチン離脱症)の強さは、禁煙後3日目、3週間目、3ヶ月目によく現れると言われていますので、サポートする側としては、適切なタイミングで支えになることが重要となります。
法律と政治
現在、日本ではタバコを販売することを認める「たばこ事業法(1984年8月10日交付)」と分煙を徹底させる「健康増進法(2003年5月1日施行)」という全く逆の法律が同時に存在しています。
また、WHOや医療関係者、ジャーナリストが禁煙活動を行っても、日本たばこ産業などの運動・圧力等により、十分な成果をあげることができないのが現状です。
タバコ病の恐怖
肺機能が低下するCOPDは、通称タバコ病ともいわれ、現在患者数が急増している疾患です。
このままいくと、2020年には、ガン・脳卒中に次いで死因第3位になると言われています。
肺は他の臓器に比べ、比較的余力があり、多少機能が落ちてきても気づかないまま重症化する例が多く危険です。
また、息切れなどの症状が出ても、「年のせいだから仕方ない」「持病の心臓病のせいだろう」といった誤った認識をしてしまいやすいのも、危険性を高めています。
COPDはまだ新しい疾患なので、これから様々なデータが集まってくると思いますが、正しい知識を持つことが非常に大事になってきます。
受動喫煙の害
最近、特に注目されているのが受動喫煙です。
タバコの副流煙には主流煙よりもはるかに多い有害物質が含まれています。
それにより、生まれる前の胎児や、乳幼児に悪影響を及ぼしてしまうのです。
小児外来の受診理由の上位のほとんど(気管支喘息、急性咽頭炎、急性気管支炎など)は、受動喫煙の影響が関与していると言われています。
よくベランダや換気扇の下で喫煙している家庭がありますが、残留呼気や衣服についた副流煙から少ないながらも、受動喫煙の影響があるので、注意が必要です。
まとめ
これだけデメリットだらけのタバコが規制されないのも、全て日本たばこ産業等と財務省との癒着が原因ではないでしょうか?
今年から導入されたタスポにしても、未成年者の喫煙防止というよりは、タバコ関連産業を中心とした各者の利権絡みの薄っぺらい対策に思えて仕方ありません。
本当に禁煙を勧めるのであれば、諸外国でよく見られるような、タバコの外箱への過激な表現(「タバコは寿命を縮めます」といったような直接的なフレーズや肺がん患者のレントゲン写真等)をのせる方が、よっぽど効果的だと思います。
まだまだ、世に出ている「タバコの害」に関する情報は、見えないところからバイアスをかけられているのが本当のところでしょう。
医療従事者は、責任を持って禁煙活動に関わっていかなければなりません。