今日の過誤防止策スレはここですか

徳島県鳴門市の投薬ミス事故


徳島県鳴門市の病院で発生した投薬ミスが様々なところで話題になっています。


病院での事故で、薬局には直接関係ない部分もあるかもしれませんが、やはり「薬のプロ」として薬剤師は要注目のニュースといえます。

具体的な防止策は“薬効表示”がいい


日病薬の資料の「疑義照会の徹底及び医薬品安全管理手順書等の緊急点検について(PDF)」は非常に参考になるので、薬局薬剤師の方もぜひ一度目を通しておいた方がいいと思います。

また、その中で個人的に気になったのが、2番目の薬剤名称表示の工夫です。

2 オーダリング等における薬剤名称表示を工夫して下さい

オーダリングや電子カルテ等、病院情報システムを利用して処方が行われている施設においては、名称の前に下記の例のように筋弛緩薬等の文字を付加して、当該薬剤が筋弛緩薬であることを明示する、あるいは索引名の頭にハイリスク薬である記号等を付加して他の薬剤と同時に検索されないことにする等の工夫を行って下さい。

例. ★筋弛緩薬★サクシン注○○mg(筋弛緩薬であること、規格を明記すること)

うちの門前の病院でも、アマリール錠の後ろに『糖尿病薬』と印字された処方せんを発行しています。最近では、薬のPTP自体に類似名称の取り違えを防ぐための注意喚起を印字しているメーカーもあります。単純なようですが、やはりこれが最も具体的で効果的ではないでしょうか。

患者にばれるとマズイことも…?


ただ、院内での対策としては上記で大きな問題はないかもしれませんが、院外処方せんを発行しているケースでは、患者がその薬効を見てしまうことで何らかのトラブルが生じる可能性もあります。

例えば、ノルバスクとノルバデックスは、有名な類似名医薬品ですが、ノルバデックスの後ろに『抗ガン剤(抗悪性腫瘍剤)』と印字してよいものでしょうか?患者本人または、家族のみにしか告知をしていないケースであれば、簡単に抗ガン剤という表記を、処方せん上に出すのはためらわれます。

また、テオドールとテグレトールも有名な組み合わせですが、テグレトールの後ろに『抗てんかん剤』と印字してよいのか?昔よりもマシになったとはいえ、いまだに『てんかん』という言葉を差別的にとらえる方もみえるかもしれません。周りに『抗てんかん薬』を服用していることを内緒にしておきたい方もみえるでしょう。

薬に関する問題はデリケート


インターネットの発達などによって、一昔前に比べて、薬に関する情報がはるかに身近になりました。しかし当たり前ですが、医薬品名の取り扱いというのは非常にデリケートな問題といえます。
院外処方せんですから、所詮、病院から薬局まで持ってくる間の短時間のことですし、ほとんどは患者本人が持参します。上記に挙げたような『抗ガン剤』や『抗てんかん薬』という表示を付けても、多くの場合問題にならないでしょうし*1、事故を未然に防ぐメリットの方が大きいのも事実だと思います。

それでもやっぱり医薬品名の表示っていうのは難しい問題だよなぁなんて、昔堅気の患者さんと接したときにふと思ったりもする今日この頃です。

*1:処方せんを落としたり、なくしたりする患者さんもたまにいますので、そういうときは処方せん上から一目で疾患まで推測されてしまうのはやっぱり問題かもしれません。