東海学会に行ってきたよ(後編)

午後は企業共催セミナーへ


楽しいランチョンセミナーで気持ちもお腹も満たされたあとは、企業(大塚製薬)共催セミナー『あらたな職域スポーツファーマシスト』に行ってきました。いよいよ来春から始動するとあって、みんなの注目度も高いのか、セミナールームも結構人が入ってました。

セミナーの要点

  • アンチドーピングは「WADAcode」に準ずる国際基準により「禁止表」「除外措置」「ドーピング検査」「分析機関」「個人情報保護」などが細かく決められており、基本的に全てのスポーツはこれを遵守する。
  • 国内のドーピング検査は昨年1年間で4000件を超えたが、これでも国際的に見て特別多いことはなく、開催されているスポーツの数から考えれば妥当な件数。
  • 昨今のドーピング検査の増加に伴い、『うっかりドーピング』が増加傾向にある。*1
  • 禁止薬物のリストは毎年更新されるので、確実な情報の取り扱いが重要。

例えば、デキストロメトルファンのように、禁止薬物に指定されたり、除外されたりしてる薬物もある。

  • 今後の大きな課題としては、「国体などを通じて、都道府県ホットラインを強化すること」と「学校薬剤師からの教育・啓発・情報発信」の2つ。
  • 来年度のスポーツファーマシストの認定については、3月に募集開始、5月以降に東京・大阪で基礎講習(各会250名を予定)、10月以降に各都道府県で実務講習を行う予定。

基礎講習では、講師対大人数での一方的な研修は考えていないため、1回の講習で250名ぐらいの参加を上限と考えている。もし、今後希望者が増えた時は、定員数は変更せず、講習回数を増やして対応する予定。

  • 薬剤師会以外の薬剤師でも認定を受けることはできる。

JADAとしては薬剤師会を通して募集をしたりするが、直接JADAのサイトにアクセスすれば、薬剤師会非会員でも講習を受けることは可能。

Jリーグの裏話


会場には元Jリーガーの平野選手も来られており、最後のパネルディスカッションでは、ドーピングにまつわる裏話を披露してくれました。

それによると、Jリーグでは試合終了後、両チームから2名ずつドーピング検査の対象者がくじ引き*2で選ばれ、該当者はロッカールームに行くこともできず、即ドーピングコントロールルームに連れていかれるそうです。そして、そこで検体となる尿を出すまでは帰れないのだとか…。たいていの場合、大量の汗をかいた試合終了直後ということもあって、ほとんど尿が出ず苦労するようで、試合が夜の9時頃に終わった場合などは、翌日の午前1時過ぎまで拘束されることもあったみたいです。

また、薬局やドラッグストアでOTCやサプリを購入するときは、必ずチームドクターに成分名を告げて、確認が取れてから買うとのこと。*3

いやぁ、やはりプロってすごいものですね。当たり前のことなのかもしれませんが感心しました。さらに、このような人たちの身近で協力的な存在になれるスポーツファーマシストにも、今まで以上に興味がわきました。

*1:これはまさにスポーツファーマシストの存在意義を示すところ!!

*2:チームドクターがきんちゃくからクジ(?)をひくそうです。

*3:基本的にはチームの常備薬を服用するそうですが、夜中等の緊急時はやはりドラッグストアなどを利用することがあるそうです。