風邪の症状別オススメ漢方薬

武田薬品さん、ありがとう!


定期的に店に送られてくる「武田薬報」の中の記事に、『漢方A TO Z 〜 かぜの症状に用いる処方 〜』というのがありました。漢方が苦手な私には非常に参考になりました。

陽症と陰症


陽症の症状とは、発熱・発汗・関節痛などの身体機能の過剰反応や、新陳代謝の亢進状態のこと。日頃から丈夫で元気な人やこどもの風邪は、このような症状から始まる傾向が強いのです。

陰症の症状は、全身の倦怠感・下痢・手足の冷えなどの身体機能や新陳代謝の低下した状態のこと。冷え症で体力がない人や高齢者は、このような症状から始まる傾向にあります。

各処方別の特徴

ひきはじめ

葛根湯


体を温めて発汗を促す麻黄が入っているのが特徴。悪寒や頭痛などの体表部に現れる反応を、汗とともに排泄させる(熱を下げる)ために用います。

重要なのは、葛根湯は必ず実証の人に用いることで、これは発汗状態で判断するのが最もよいでしょう。通常、風邪のひき始めでは、生体が自然治癒過程で細菌やウイルスと戦うために体温を一気に上昇させようとするため、汗が出ません。このような人に葛根湯は最適です。

桂枝湯


上記とは逆に、もともと体力のない虚証の人は、風邪のひき始めからじっとりと汗をかき、寝汗も見られることが特徴です。このような人に葛根湯を用いると、汗ばかりが出て風邪は改善されないまま、倦怠感だけが強まります。このようなときは麻黄を含まず、徐々に熱を上げて急激な発汗を促さない桂皮を含む桂枝湯が最適です。

胃腸症状

小柴胡湯


症状が消化器系に現れたとき*1の治療の中心となるのは、小柴胡湯です。
柴胡は邪気を体内で中和・解毒したり、免疫賦活・抗炎症作用があるといわれています。

柴胡桂枝湯


胃腸症状もあるが、頭痛や発熱といった症状もあるという、いわゆる風邪をこじらせたような症状の場合は、小柴胡湯と桂枝湯の合剤の柴胡桂枝湯がオススメです。

陰症

麻黄附子細辛湯


陰症から始まる風邪、つまり自覚症状として悪寒が強く熱感がない、他覚所見として顔色が青白いというようなときで、のどの痛みや水っぽい鼻水の症状が主であれば、麻黄附子細辛湯がよく効きます。附子は体を芯から温める作用を持つと言われています。

真武湯


上記の症状に全身倦怠感や下痢などの胃腸症状が加われば、真武湯を用いることもあります。

桂枝加芍薬


胃腸症状が主で、下痢・便秘を繰り返す場合などは、消化管運送を促進する芍薬を含む桂枝加芍薬湯がオススメです。

桂枝加芍薬大黄湯


さらに便秘症状が強ければ、下剤の大黄を加えた桂枝加芍薬大黄湯を用います。

麦門冬湯


上気道から発するコンコンという乾いた咳なら、麦門冬湯の適応が考えられます。

麻杏甘石湯


一方、気管支からくるゲボゲボと響くような重い咳の出る場合は、炎症が残っている可能性があります。そのようなときは、抗炎症作用と気管支拡張作用も期待できる麻黄の入っている麻杏甘石湯の方がよいでしょう。

鼻水

青竜


冷えがあり。水っぽい鼻水の症状のときは、花粉症にも用いられる小青竜湯が適します。黄色っぽい粘着質な鼻水であれば葛根湯の方がよいと考えられます。

体力の低下

香蘇散


風邪による体力低下や、倦怠感、脱力感などがひどいときは、体内に気を巡らせる香蘇散が有効です。

結論


漢方は奥が深いです。勉強すればするほど色んなことがでてきて…整理が追いつかない状態です。少しずつ実践を通して覚えていかないとダメですね。

*1:口中の苦味が特徴的です。