調剤室における情報管理

薬事法改正のために片付け


薬事法が改正され、第一類医薬品を薬剤師が手渡しで販売しなくてはならない日まで、もう1週間を切ってしまった。うちの店にはカギ付きの什器もないし、ましてや薬剤師が店頭で接客販売するような場所も余裕もないので、第一類医薬品は調剤室で管理することになった。そんなわけで最近は調剤室の片付けに精を出す毎日というわけだ。
まぁ元からそこそこ整理はしていたので、これ以上劇的に片付くわけもなく、結局新しい棚を一つ買うことになったのだが…。

バックナンバーの山


片づけをしてて思ったのが、雑誌のバックナンバーが非常に多いということ。無料の「日経DI」や「日薬雑誌」から、有料の「調剤と情報」、「レシピ」、「ファーマネクスト」、さらに古いものでは今はなき「ファーマビジョン」まで、たくさんの雑誌のバックナンバーが棚におさまってる。そこで気付いたこと。

「これ、いつまで置いとくの??」

フロー情報とストック情報


情報には『フロー情報』と『ストック情報』の2種類がある。『フロー情報』とは、その時々で処理される情報。調剤室で言えば、添付文書の改定などが良い例である。あとで見てもあまり価値がないもののこと。添付文書の改定などは次々起こるから、あんまり古いものは不要となる。また、ガイドライン系の情報なんかも『フロー情報』だ。高血圧のガイドラインも2009年版が出たから、2004年版はもう不要だろう。
『ストック情報』とは逆に今後も必要になる場面が出てくる情報で、その名のとおりストックしておくべき情報のこと。疾患別にまとめられた記事や調剤時の工夫ポイントなどがコレにあたる。

とりあえず置いておくはダメ


この『フロー情報』と『ストック情報』の判断は個人によって違うと思うが、重要なポイントは“とりあえず”という考えを捨てることである。「“とりあえず”というのは居酒屋で最初にビールを頼む時だけにしましょう」という名言があるが、まさにその通りだと思う。残す理由なんていくらでも出てくるので、いちいち考えていてはキリがない。「過去のガイドラインを見返すときが来るかもしれないから」とか、「これまでの調剤報酬の移り変わりをまとめて発表することがあるかもしれないから」とか。だからとりあえず残しておこうと。

はっきり言って、“ない”から。

もしかしたら…なんて、そんなことは“ない”のである。

フローとストックを意識して情報源を分ける


医療は常に日進月歩であり、新しい情報は次から次へとやってくる。その全てを保管しておくと、とてもじゃないが調剤室には収まりきらないだろう。そこで提案したいのは、上記の種類別に情報源を分けることである。具体的には『フロー情報』はネット、『ストック情報』は書籍という具合だ。

ネット上では常に新しい情報が漂っているので、『フロー情報』の収集には最適である。日経DIもようやくウェブ版ができたのでこちらをドンドン活用すればよいだろう。*1

逆に『ストック情報』のように系統立てて情報を収集したいときは書籍の方がいい。ここでいう書籍とは、日経DIなどのような雑誌ではなく、テーマを持った書籍だ。日々アップデートされる医療情報の中でも変わらない基本的な原理原則のようなものがある。このような情報は書籍を精読することで理解を得るほうがよい。

調剤室には添付文書(改定を含む)などの紙媒体の情報が溢れかえっているので、ちょっと油断するとゴチャゴチャになって、結局何も得られない事態になってしまう。そうならないためにも日頃から情報の必要性を考えながら整理整頓を心がけるようにしよう。

*1:RSS対応をしてくれると助かるんだけどなぁ…。