プレミネント錠について

高血圧治療の現状とプレミネント開発の経緯

高血圧治療のガイドラインは改定の度に厳格な降圧目標を掲げるようになっており,最新のガイドラインJSH2004では,下記のような降圧目標を定めている。


しかし,ARB単剤投与やARB+CCB併用投与の60%以上が,降圧目標未達成であるのが現状である。

また,日米欧の高血圧治療治療ガイドライン(JSH2004・JNC-7・ESH-ESC)の全てでARBと利尿薬の併用療法が推奨されている。


他剤からの切り替え時の有効性

Switch Study(バルサルタンからの切り替え)をはじめ,その他,オルメサルタン20mgやカンデサルタン8mg/HCTZ12.5mgの合剤からの切り替えでもプレミネントの有効性が示された。

特に血清K値には影響を与えず,尿酸値を下げたことはプレミネント(ロサルタン)特有の結果であるといえる。


このロサルタンの尿酸値低下作用は,血清尿酸値7〜8mg/dL程のの患者であれば,1mg/dLぐらい下がると言われている。


降圧効果とコストパフォーマンス

また,降圧効果の強さに関しても,ロサルタン100mgやカンデサルタン16mgよりも優れていることが示されている。

高用量ARBやARB/CCBでは,ARB単剤よりも降圧効果は高いが,その分,コストがかかる。
しかし,プレミネントであれば高用量ARBやARB/CCBよりも高い降圧効果を示し,かつ薬価が安くコストパフォーマンスに優れている。


利尿効果について

プレミネントに含まれるHCTZ12.5mgはフルイトラン1mgに相当するが,利尿効果はそれほど強いものではなく,大きな支障はきたさないと考えられる。

利尿薬の降圧効果と副作用に関しては下図のような相関関係が考えられている。


即ち,利尿薬は低用量で十分な降圧効果を示し,副作用のリスクも少ない。一方,高用量では,低用量のときと降圧効果はそんなに変わらず,副作用のリスクだけが上昇するのである。

そのため,利尿薬を降圧目的で投与するときは可能な限り,低用量で用いることが重要である。

また,近年多いメタボリックシンドロームの関連する高血圧では,食塩感受性高血圧の例が多く,その場合,利尿薬が奏効するのも,プレミネントの優位な点の一つである。


高血圧治療の今後の流れ

『 ARB → プレミネント 』もしくは,『 CCB → ARB + CCB → プレミネント 』といった流れが主流になると思われる。

プレミネントは第一選択薬にすると,過度の降圧や立ちくらみなどの副作用の懸念があるので,あくまでも従来の降圧薬が無効であったときの第二選択としての位置付けが望ましい。

現在は“合剤”というカテゴリーにはプレミネントしか存在しないので,使用頻度が高いとは言い難い状況だが,今後,ロサルタン以外のARB/HCTZ合剤や,CCB/HCTZ合剤,ARB/CCB合剤などが発売されるようになると,合剤を処方することへの抵抗感も薄まり,使用の頻度は高まるであろう。