抗血小板薬について
脳の特異性
脳が肺や肝臓、腎臓などの他の臓器と大きく異なる特異性は、左右で役割が違うことである。
即ち、左脳では言語などの“知識”を、右脳では“情動”や“空間認知”などを担っている。
これにより、脳梗塞は発生した場所によって、症状が異なるという性質を持つ。
脳梗塞の臨床病型
1.心原塞栓性脳梗塞 ( CEI )
原因:
・不整脈 … 強いストレスなどにより発作性の心室細動を引き起こすことがある。
・弁膜症
・細菌性心内膜炎 … 突然の発熱から始まるため、初期診断が難しい。 (心雑音で判断するのが一般的)
2.ラクナ梗塞 ( LI )
それぞれの病型の割合は、食生活の変化(洋食化)によって変化してきている。
血栓溶解療法
t−PA静注法
○ 準備が容易で手技が簡単。
t−PA 又は urokinase 選択的動注法
○ 静注法より有効、かつ合併症が少ない。
× 準備に時間がかかり、しかも特殊な技術を要するため熟練の施術者しかできない。
どんなにスムーズにいっても1〜1.5時間は準備に時間を要するが、脳は虚血状態でおよそ3時間程度しかもたないため、実際に行なうにはかなり無理があり現実的な方法とはいえない。
脳梗塞の再発
年間の再発率は4〜14%程度。
最も再発率が高く心配なのは、脳梗塞発生後30日以内だが、それを過ぎても再発のリスクがなくなるわけではない。
例えば、アテローム血栓性脳梗塞の5年再発率は男性で42%、女性で24%にもなる。
治療薬の選択
1.心原塞栓性脳梗塞
ワーファリン>>アスピリン
ワーファリンが第一選択となる。 ( 無理ならアスピリン )
ワーファリン投与中はINRが2.6を超えると出血性の副作用が急増するので要注意。
2.ラクナ梗塞
プレタール>アスピリン
経済性を考慮してアスピリンが選択されることもある。
アスピリン投与による出血が心配であれば、プレタールの方がよい。
プラビックス>>プレタール>アスピリン
アテローム血栓性脳梗塞の場合は、脳だけでなく、心臓(冠動脈)や末梢動脈への影響も考慮し、全身性の疾患としてとらえることが重要である。
現在、パナルジンを用いるメリットはほとんどなく、プラビックスが第一選択薬となる。