ゼチーア錠

コレステロール血症の現状

ここ10年間で国内の高コレステロール血症の患者数はおよそ3倍になり、コレステロール値の平均も米国と差がなくなった。
これは食生活を中心としたライフスタイルの欧米化が原因と考えられている。

総患者数は現在2000万人と高血圧に次ぐ多さだが、実際に治療中なのはそのうちの670万人(およそ22%)。
さらに治療中の患者において、高血圧や糖尿病などを合併しているいわゆる高リスク患者の治療目標到達率は5割に満たない。

動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007

つまり45歳以上でタバコを吸う男性は、それだけで主要危険因子が2つとなり、“中リスク群”に分類される。ここに高血圧や糖尿病などが加われば、あっという間に“高リスク群”である。

コレステロールの合成と吸収

肝臓で合成されるコレステロールはおよそ400〜500mg/dayで、それに対して小腸からのコレステロール吸収量は600〜1250mg/dayである。

これまでの高コレステロール血症の治療の中心であったスタチン系は前者(肝での生合成)を阻害するが、ゼチーアは後者(小腸からの吸収)を阻害する全く新しい作用機序を持つ薬剤である。

また、スタチン系は合成系を抑制することで、相対的にコレステロール吸収を亢進するリスクがあった。[strong スタチンほどリスクが高い]
さらに、糖尿病・肥満・冠動脈疾患・高コレステロール血症などでコレステロール吸収が亢進している患者は、心血管系のイベント発生率が高いこともわかっているので、吸収系を抑制するゼチーアは理想的薬剤といえる。

ゼチーアの効果

単独投与でもメバロチンと同等のコレステロール低下作用がある。

また、スタチンは用量を倍にしても5〜6%程度しか効果が上がらないことに対して、スタチンにゼチーアを加えた場合では20〜30%程度のコレステロール低下作用を期待できる。

用法用量

1日1回、いつ服用しても効果に変わりはない。
用量に関しては海外でも「10mg」のみ。
用量調整に関しては「適宜減量」のみ認められている。

保管上の注意

保管は必ずPTPで保管する。

1ヶ月程度であれば問題ないが、3ヶ月経過で高度が著明に低下することがわかっている。
そのため、1ヶ月以上の長期における一包化調剤には適さない。

処方意図

米国では第一選択薬としての処方も増えてきているが、日本ではいまだにスタチンによる治療法やエビデンスが確立しているため、ゼチーアは苦戦している状況。