そろそろ新型インフルエンザについて一言いっとくか
ちょっと前の薬剤師会研修会で、保健所から新型インフルエンザの話がありました。
その後、自分でも本を読んだりしたので、まとめてみます。
想像できない世界
これまでも、TVや新聞等で、新型インフルエンザに関する報道がたびたびありましたが、個人的には、あまりピンときていませんでした。
しかし、今回の研修会で遅ればせながら、新型インフルエンザの恐怖がよくわかった気がします。
本当にこの感染症が流行したら、とてつもないですね。
直接の死者が何人とかの話ではなく、社会の機能全体に大きなダメージを与えることは必至です。
特徴と診断
新型インフルエンザの特徴は、これまでのインフルエンザのような呼吸器症状だけでなく、全身症状(特に腹痛・下痢)も伴うのが特徴のようです。*1
また、診断もこれまでのように、鼻腔や口腔からの採取するような迅速診断キットでは、不確かで、PCR法が最も有効な方法のようです。
感染の疑いがあれば保健所へ
これは最も重要なことだと思います。
感染の疑いがあれば、とにかく保健所へ連絡を入れて判断を仰ぐようにしましょう。
直接医療機関に行っても、対処できないばかりか、医療従事者や周りの患者さんに二次感染のリスクが高まります。
まずは保健所に連絡すること、これは必ず覚えておきましょう。*2
若年者の方がより危険?
従来のインフルエンザでは高齢者の死亡率が高かったのですが、新型インフルエンザではサイトカインストームが引き起こされるため、免疫系の活発な若年者の方が死亡のリスクが高そうです。
ドラッグストアではどうなるか
本当に本格的流行になれば、マスクや消毒薬、薬を求めてお客さんが殺到するのは間違いないと思います。
それらの商品は早々に品切れしそうですから、国内での発生状況よりも、海外での動向を見て、広がりそうなら早めに確保しておかないとダメでしょうね。
また、そのように殺到するお客さんの中に新型インフルエンザに罹患した方が見えるかもしれませんから、こちらとしては大袈裟な言い方をすれば、命がけの接客になりそうです。
フェーズ4が発令された時点で、医療従事者は全員マスク着用が義務付けられるとも言われているそうですが、殺到するお客さんと売り切れたマスクの売り場の間でどのような対応をとれるのか。
全くの未知の世界なので、非常に不安を感じます。
火葬の問題
個人的に興味深かったのは、死者に関する問題です。
新型インフルエンザが本格的に流行すれば、通常の年間死者数の6,7割の人数が2,3ヶ月で亡くなるだろうと予測されているそうです。*3
これにより、火葬場のパンクは避けられない事態のようなのです。
スペイン風邪が流行したときも同じような状況になったらしいのですが、現代の日本で死者多数のため、火葬場がパンクするなんて想像がつきませんね。
参考図書
- 作者: 岡田晴恵,田代眞人
- 出版社/メーカー: 岩波書店
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新型インフルエンザについての基礎知識はコレで。
- 作者: NHK「最強ウイルス」プロジェクト
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2008/05/23
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NHKのドキュメンタリー番組の内容をまとめたものですが、これはかなりおすすめ。
新型インフルエンザの恐ろしさ、各国の状況や日本の対策の遅れなどが、よくわかります。
「パンデミックは起こるか起らないかが問題ではない。いつ起こるかが問題なんだ」
医療従事者であるなら肝に銘じておきましょう。