治療をためらうあなたは案外正しい

EBMとは何か?

最近読んだ医療系の本の中で、当たりだった本です。

治療をためらうあなたは 案外正しい

治療をためらうあなたは 案外正しい

EBMの使い方

EBMの5つのステップ
1.患者さんの問題を明らかにする。
2.問題について情報収集する。
3.情報を批判的に吟味する。
4.情報を患者さんに適応する。
5.以上のプロセスを評価、反省して次回につなげる。

(P.255)

EBMという言葉は大学でも習いましたが、結局それはEBMという単語を覚えただけのような気もします。*1上記の5つのステップは著者があとがきに書いたものですが、本書の中では具体例を提示して、何度も繰り返し説明してくれています。まだまだ治療方針の決定に深く係わることの少ない薬剤師ですが、このような考え方は非常に大切だと思います。

気になった点のメモ

  • 高血圧の薬を飲むのは「血圧を下げるため」ではなく、「脳卒中やその他の合併症を予防し、元気に生きるため」である。つまり、EBMで根拠を示すときに、単に「血圧が下がるという根拠」だけでは足りない。「脳卒中が減るという根拠」までたどり着いて、初めて治療の根拠が明確になる。
  • 「薬を飲むとどうなるか」と同じぐらい、「放っておくとどうなるか」も検討するべき。薬の効果は使う数字によって印象がかなり変わるので、それに惑わされないこと。(フレーミング効果と同じ)
  • 統計情報の平均的な患者と、自分とのギャップを理解する。エビデンスをそのまま鵜呑みにしない。
  • 治療に当たっては、副作用や医療費のことも考慮する。

その他、最近読んだ本


ついでに最近読んだ他の本もメモっておきます。薬と関係ないですが…。


ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち

ケータイ小説的。――“再ヤンキー化”時代の少女たち

うちの嫁も一時ケータイ小説にハマってたときがありました。ケータイ小説から浜崎あゆみ、NANA,イニシャルDへと続く考察はなかなか面白いですね。

頭脳勝負―将棋の世界 (ちくま新書)

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先日、永世竜王を獲得した渡辺竜王の著書です。優しい人柄が表れてる文章です。もう何年やってないか思い出せませんが、久しぶりに将棋がしたくなりました。

死神の精度

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ちょっと前に映画化されてましたよね。最後の結末がいい味出してます。

向日葵の咲かない夏

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う〜ん、今まで読んだ道尾秀介の中ではイマイチかも。次は「カラスの親指」か「ラットマン」を読みたいです。

*1:最近は薬学部6年制になって、もっと高度な学習をしてるのかもしれませんね。