プラビックスとPPIの併用がヤバいらしい

プラビックス×PPI=危険!?


今日こんな記事を発見しました。

クロピドグレルとプロトンポンプ阻害薬の併用は心筋梗塞の再発リスクを高める 【NIKKEI NET】

心臓発作(心筋梗塞)後に抗血小板薬クロピドグレル(商品名:プラビックス)と酸分泌を抑制するプロトンポンプ阻害薬PPI)を併用した場合に、クロピドグレル単独使用に比べて心臓発作の再発リスクが大幅に増大することがカナダの研究で判明した。PPIおよびクロピドグレルともに世界的に広く使用されている薬剤であることから、このリスク増大が公衆衛生に大きく関わってくる可能性がある。

<中略>

このような両剤の関連性が示されたのは今回が初めてではない。昨年(2008年)、米国のMedco Heaalth Solutions社が1万6,000人を対象に実施した研究では、ステント留置後にクロピドグレルとPPIを併用した人の39.2%に重篤な心イベントが発生したのに対し、クロピドグレルの単独使用での発生率は26.2%であることが判明している。

「クロピドグレルとPPIはいずれも肝臓で同じ酵素により代謝されるため、併用によりクロピドグレルの血小板凝集抑制効果が低下する可能性がある」と米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(ボストン)のChristopher Cannon博士は述べている。

プラビックスもPPIもメジャーな薬剤ですから、同時に服用している患者さんがいてもおかしくなさそうです。

少し前にも…


このプラビックスの代謝に関する記事は、去年の薬事日報にも出ていました。

【日本臨床薬理学会】クロピドグレルの血小板凝集抑制、CYP2C19遺伝子多型が関与 【薬のことなら薬事日報ウェブサイト】

クロピドグレルは、冠動脈血栓症やステント血栓症などの治療に使用されているが、血小板凝集抑制作用には個体差があることが知られている。その原因としては、薬物代謝酵素のCYP2C19遺伝子の多型の関与が示唆されている。

パナルジンが肝障害やTTPといった厄介な副作用を持つことに比べて、プラビックスは安全で使いやすそうなイメージがありましたが、相互作用には注意した方がよさそうです。

CYPが関与

プラビックスは主にCYP3A4、CYP1A2、CYP2C19、CYP2B6で代謝されるようですが、オメプラールタケプロンパリエットといったPPIもCYP3A4、CYP2C19で代謝されます。そのため競合阻害が起こっていると考えられます。

また、PPIの添付文書の相互作用の項目には、代謝酵素による影響について書かれていますが、プラビックスの添付文書には、非ステロイド性消炎鎮痛薬(ナプロキセン等)、抗凝固薬(ワルファリン、ヘパリン等)、血小板凝集抑制作用を有する薬剤(アスピリン等)、血栓溶解薬(ウロキナーゼ、アルテプラーゼ等)との併用による出血傾向の増大について書かれているだけで、代謝酵素絡みのことは何も書いていません。

こういうニュースを見ると、添付文書の裏を読み解く力の必要性を感じますね。