ディフェリンゲル情報をざっくりまとめてみました

気になる存在


塩野義にディフェリンゲルの勉強会をしてもらった。
うちの薬局は大型病院の門前なので、正直、ディフェリンゲルがターゲットにするようなニキビ患者はほとんど来ない。一応、病院の採用薬にはなってるわけだけど、そりゃニキビぐらいで長時間待ってまで病院に来なくても、開業医で済むし。っていうか、ニキビ治療ぐらいなら、ほとんどみんなOTCで済ませてるのかも。
まぁしかし、従来と全く違う作用機序のニキビ治療薬ってのが個人的に気になったので、今回の勉強会開催に至ったわけだ。


効能効果

尋常性ざ瘡

  • 顔面のみに使用。顔以外の胸・背中などは安全性が確立していないため使用不可。

作用機序

レチノイン酸受容体に結合し、表皮角化細胞の分化抑制。つまり毛穴のつまりを取り除くということ。

  • 国内初のレチノイド様作用を有する外用尋常性ざ瘡治療剤。

用法用量

1日1回洗顔後に塗布。

  • 症状改善により必要がなくなったら中止。通常、2週間程度で効果が実感でき、3ヶ月を治療の目処と考える。
  • 一応、12か月の長期使用における安全性はあり。(それ以上は試験していない)
  • 1回1gあれば足りるはず、という計算のもと、1本で2週間分→1本15gとなったらしい。
  • 塗るときは顔全体に塗布。目に見える炎症性皮疹の周りには、目に見えない非炎症性皮疹があるはずなので、広範囲に塗る方がよい。
  • 同様の理由から、症状が頬だけでも、額も含め顔全体に塗布する方がよい。

副作用

皮膚乾燥・皮膚不快感・皮膚剥脱・紅斑など。

  • ほとんどの副作用が投与開始2週間以内に集中するので、ここを乗り切れるかがポイント。
  • 患者側の訴えにより投与中止に至った例はあるが、医師側から投与中止を判断した例はない。つまり、最初にどれだけ説明しておくかが重要。
  • 長時間の直射日光など紫外線により、刺激感が増すので要注意。
  • 刺激感が強いときは保湿剤を併用すると、多少マシになるらしい。

使用上の注意

妊婦には禁忌。
12歳未満および36歳以上には試験を行っていないので、安全性が確立されていない。

  • ダラシンTゲルなどの抗菌外用薬と併用するときは、先にディフェリンゲルを顔全体に塗布してから、抗菌外用剤を炎症性皮疹にピンポイントで塗布する。
  • 保湿剤(乳液・化粧品など)を使用するときは、ディフェリンゲルを塗布する前に使用する。
  • 臨床試験ではプラセボでも30%程度の改善効果があった。これは規則正しい生活やこまめな洗顔を義務付けたためと考えられる。つまり、ディフェリンゲル使用時も、そのような生活習慣改善が非常に重要な役割を担うことを考慮して服薬指導を行う。

まとめ

  • とにかく2週間は我慢して続けてもらうこと。
  • 顔全体に塗布すること。

この2点が最重要ってこと。さらにプラスして、規則正しい生活&洗顔を指導すれば完璧。

勉強会を受ける前の印象では、初期のニキビにしか効かないのでは?という誤った認識を持ってたが、そんなことはないようだ。これはかなりいい薬だと思う。ある意味、患者の使用をどれだけ継続させることができるか、薬剤師の腕が試される薬なのかも…。