レセプトオンライン化について

未確定要素が多い

来年4月にはレセコンを使用している全ての薬局がオンライン請求しなければならないという状況なのに、この7月下旬でも未確定要素が非常に多いようです。
果たしてこのまま4月を迎えて大丈夫なのか、とても心配になりました。

また、話の内容自体、“オンライン化”というぐらいですので、そっち系の用語も多く、理解するのに苦労しそうです。

問題点は融通の利かなさとお金

このオンライン化の最大の問題点は、4月以降、『オンラインでしかレセプトを受け付けない』と言う点です。
これまで、FD等を用いた電算レセを導入した際などは、『FDでもいいし、従来通り紙レセでもいい』という柔軟なスタンスであったのに対し、今回のオンライン化は非常に傲慢で恐喝的な制度であるというわけです。

ちなみに発表されている電算レセの普及率は全国平均で90%近いですが、これはレセプトの件数ベースの割合であり、薬局の軒数の割合ではないのです。つまり、大量の処方せんを受け付けているところがドンドン電算化を進めれば、電算化率もドンドン上昇すると言うわけです。
というわけで、現在も紙媒体でレセを提出している薬局はまだまだあり、このような薬局にとっては、これから半年は壮絶なことになるでしょう。


 参考資料 (ちょっと古いのもありますが…) :
 シード・プランニングがレセプトオンライン請求義務化について調査

 レセプト電算化‐病院は41.1%、薬局は76.8% 【薬事日報】


また、単純な話ですが『お金がかかる』ことも問題点と言えます。
これまでの紙レセ、FDによる電算レセであれば郵送代も含めて2000円/月もあれば足りていたものを、オンライン化されると専用端末を用意したり、プロバイダー料金がかかったりで、5000〜6000円が毎月余分にかかることになります。
なぜ今までより高い経費を無理強いさせられなければならないのか、十分な説明がないのが現状です。

政治絡みの裏話

この全医療機関レセプトオンライン化の流れは、元々小泉改革の一環であり、そういう意味では悪評高い“後期高齢者医療制度”と同じものだと言えます。

去年10月には、このオンライン化に反対すべく、医師会、歯科医師会による国会答弁もありましたが、なすすべなく完敗したようです。
医師会、歯科医師会という強力な2枚看板が太刀打ちできなかった問題に薬剤師会が勝てるわけもないのです。*1

要点

当日は、既にオンライン請求している薬局の方からポイント解説もありました。
要点は下記の通り。


ウイルスセキュリティソフトは『ノートン』や『ウイルスバスター』はどうも相性が悪いので、『セキュリティゼロ』や『マカフィー』の方がおすすめ。*2


・OSなどにも制限が多いので注意。*3
Windows XP sp1 → ×
IE5.5 →×
Firefox ・ opera → ×  などなど


ISDNがオススメ。
これが最も費用がかからないし、そもそも田舎の方では光回線がない地域もあるので、ISDNを使うしかない状況。また、NTTも今後、ISDNを縮小する考えはないらしい。
欠点は電話回線なので、『話し中』の状態になる可能性があること。*4


・チェーン薬局によっては本部一括請求してるところもある。*5

まとめ

まだまだ未確定要素が多く、問題も山積ですが、個人薬局などにとっては来年4月以降の収入がパッタリと途絶えるかもしれないという、まさに死活問題です。
一刻も早く全容がクリアになることを期待します。

*1:歯科医師会は現時点でもオンライン請求0件を維持しており、徹底抗議の姿勢を崩していないとの噂もあるようですが、薬局にはこんな強気な真似はできませんよね…。

*2:レセコンメーカーの話では、これは嘘だろうと言ってました。設定次第で『ノートン』や『ウイルスバスター』でもなんとかなるそうです。

*3:国保の資料によると、LinuxFirefoxでも可能なようですが…。

*4:ただし話し中になるのは、回線を確保していない保険者側にあるので、薬局側でそこまで心配する必要はないと言ってました。

*5:これも某レセコンメーカーの話では、今はあまり聞かないとのこと。どうも都道府県をまたいでの請求はできないようなので、店舗のデータを本部へ吸い上げて、本部から一括して請求しようとすると各都道府県の店舗ごとにデータをまとめなければならないらしいです。