頭痛退治読本

明日はアマージ錠の勉強会です。
なので、片頭痛についてちょっと予習してみます。

頭痛持ちは意外と多い

慢性頭痛をもつ患者のうち、緊張型頭痛は2200万人、片頭痛は840万人と言われています。これはそれぞれ15歳以上人口の22%、8.4%に匹敵します。

頭痛後進国日本

このように多くの頭痛患者がいるにも関わらず、日本では頭痛に対する認識が甘い面があるようです。
例えば、ひどい片頭痛であれば、仕事もできないぐらいのことにもなりますが、いまだに「頭が痛いぐらいで会社を休むな」といった、精神論的な意見もあります。

これが喘息発作であれば、別の見方をされることも多そうですが、どうも「頭が痛い」というと「気合いで治せ」と思われがちなようです。

診断が難しい

米国の論文によると、プライマリケア医が片頭痛と診断した98%は確かに片頭痛でしたが、片頭痛ではないと診断した患者の82%も片頭痛であったという報告があります。

それだけ診断が難しいのが現状のようです。

片頭痛と書くから、片側だけが痛いはず」
「心臓の鼓動に合わせてズキンズキン痛むから、これは片頭痛だ」
などといったものも誤った認識です。

片頭痛でも両側性のものもあれば、拍動性の痛みを有しないものもあります。

また、肩や首のこりからくる片頭痛もありますので、肩こりを併発してるだけで安易に緊張性頭痛と診断するのも危険です。

中には片頭痛なのに、誤ってクモ膜下出血と誤診され、開頭手術をされた患者さんもいるようです。

薬物乱用頭痛とは

鎮痛剤を連用すると、常に痛みを薬が和らげてくれるため、脳内の痛み抑制センサーが仕事をしなくなり、ちょっとした痛みでも敏感に感じるようになります。
そして、また鎮痛剤を連用し、センサーが正常に働かなくなり…という負のスパイラルに陥るわけです。


また、OTCの鎮痛剤にはよくカフェインが入っていますが、カフェインは血管収縮作用があり、一時的に痛みが引きますが、効果が切れると、急激に拡張し、その反動でまた痛みが激しくなります。
そしてまた鎮痛剤を服用してしまう…という、こちらも悪い連鎖が引き起こされるのです。

原因は三叉神経血管説が有力

片頭痛の原因は諸説ありますが、三叉神経血管説が有力と言われています。

これは、ストレスなどにより血小板内のセロトニンが血中に放出され、それにより血管収縮が引き起こされ、その後セロトニンの減少とともに、急激に血管が拡張することにより痛みが誘発されるという説です。

トリプタンは、このセロトニンの代わりに血管を収縮させ、痛みを和らげるというわけです。

また、トリプタンは同時に、三叉神経に取りついて痛み物質のサブスタンスPなどの分泌を抑制する働きもあります。

トリプタンは服用のタイミングが大事

トリプタンは痛みが始まってすぐに服用するのが、最も効果的です。

しかし、「痛みを我慢することが美徳」と考える人が多いのか、ギリギリまで我慢して、どうにもならなくなってからトリプタンを服用する患者さんもいるそうです。

また、トリプタンが発売される前に使われていたエルゴタミン製剤が、痛みが始まる直前に服用する薬であったことから、誤った認識を持っている患者さんもいるかもしれません。

服薬指導時には、服用のタイミングについて、もう一度注意しながら説明しようと思います。

参考図書

1時間ぐらいでざっと読めます。
手軽に復習したいときにおすすめ。