ドラッグストアで働く私がマツキヨと日調の提携について思うこと

今年を締めくくる大型提携

マツキヨHDが日本調剤と提携へ−調剤併設店500店舗目指す 【薬のことなら薬事日報ウェブサイト】

マツモトキヨシホールディングス(マツキヨHD、社長松本南海雄氏)と、日本調剤(社長三津原博氏)は30日、業務提携に向けた協議開始を発表した。ドラッグストア業界では同業による競合激化に加え、明年6月から施行予定の改正薬事法で、登録販売者制度の導入による異業種の参入が予想されるなど、競合環境が一層厳しさを増している。そうした状況を踏まえ、専門性強化・調剤事業強化を戦略目標に掲げるマツキヨHDと、大型門前薬局から面分業対応の薬局への展開を目指し、子会社に後発医薬品メーカーを持つ日本調剤とが、店舗開発や商品仕入れなど、両グループの経営資源を活用することで合意した。


昨日の「気になるニュース」でも取り上げましたが、マツモトキヨシ日本調剤が業務提携に向けた協議開始を発表しました。今年も数多くの合併・提携のニュースがありましたが、最後の最後に超大物が待っていましたね。

なぜマツキヨが?


ドラッグストアで働いている私個人の見解としては、「なぜあのマツキヨが?」というのが第一印象でした。
マツキヨといえば、ドラッグストア業界のトップであり、社長である松本南海雄氏は日本チェーンドラッグストア協会でもあります。最近でこそ、他のドラッグストア企業の合併・提携による追随が激しいですが、いまだナンバーワンであり、オンリーワンの企業であると思います。しかも今年の8月には下記のような話題もありました。

マツキヨ、雑貨専門店参入 5年で100店舗目指す 【NIKKEI NET】

ドラッグストア最大手のマツモトキヨシは雑貨専門店に参入する。医薬品を一切取り扱わず、化粧品と美容雑貨を中心にした店舗で、年内に1号店を開業し、5年後に100店に拡大する。食品や日用品の安売りで急成長を遂げたドラッグストア業界だが、規制緩和による新規参入で主力とする医薬品販売を巡る競争が今後激化する見通し。マツキヨは女性の需要が根強い化粧品や美容雑貨の分野を強化し、環境激変に備える。

 新型店の名称からは安売りのイメージが強い「マツモトキヨシ」の文字を外し、安売り販売もしない方針だ。全国主要都市の駅ビルやショッピングセンター、百貨店などの商業施設にチェーン展開し、5年後に年商400億円をめざす。


以前から調剤への本格参入の噂もありましたが、上記のニュースのように、ドラッグストアの中でも小売りをメインに展開していく方針は変わらないと思っていました。

薬事法改正の影響


そのマツキヨがいよいよ調剤へ本格着手をしてきたということは、それだけ来年以降のドラッグストア業界(特に小売り系)が厳しいものになるということでしょう。つまり、登録販売者の登場により、多くの異業種の参入、それに伴う価格競争などが起こり、それは予想以上に激しいものだと感じているということです。

今後、ドラッグストアという特色を生かすためには、調剤というコンテンツははずせないものになっていくのでしょう。

メリットは?

マツキヨHDが日本調剤と提携へ−調剤併設店500店舗目指す 【薬のことなら薬事日報ウェブサイト】

都内で会見した両社トップは、提携への協議事項として、店舗面(調剤併設型ドラッグストアの新規出店、両社既存店舗における調剤併設への転換)、運営面(調剤事業の運営効率化のためのノウハウ共有)、人的資源(薬剤師及び登録販売者のスキルの向上)、商品面(先発医薬品及び後発医薬品仕入れ効率化)――の4点を挙げた。


色々、メリットを挙げてくれていますが、一番大きいのは日本調剤の子会社である日本ジェネリックの販路が一気に拡大したことではないでしょうか?今後ますますジェネリック使用が促進される中、マツキヨグループという大きな販売機会を得られたことは非常に大きいと思います。
逆にマツキヨは日本調剤のノウハウをどこまで生かせるかがポイントでしょうね。既存のマツキヨの中でも少ないとはいえ調剤を行っている店舗があり、独自の方法もあるでしょう。そこにどこまで新しいノウハウを融合できるか?見物です。

独自性をどう打ち出すか?


くしくも今日、別の大手ドラッグストアであるスギ薬局グループが訪問介護事業への本格参入を発表しました。

ドラッグストアチェーンが訪問看護事業へ進出 【DIオンライン】

愛知県安城市を拠点に約650店舗のドラッグストアを展開するスギ薬局のグループ会社、スギメディカル(本社:東京都品川区)は、11月1日に大阪市阿倍野区に「スギ訪問看護ステーション林寺」を開設、訪問看護事業に進出する。2012年度までに、関東、中部、関西の各地域で計100カ所の訪問看護ステーション開設を目指す。

スギメディカルによれば、ドラッグストア企業による本格的な訪問看護ステーション開設は初の試みという。同社は、既に訪問服薬指導や在宅向けの無菌調剤などを手掛けており、これら在宅医療事業との相乗効果を追求する狙いがあるとみられる。2009年6月の改正薬事法の全面施行を控えた、ドラッグストア企業の専門性強化の動きとして注目される。


スギ薬局は調剤事業にはかなり初期から着手してましたから、今度も他のドラッグストアを差し置いて、さらに先へ進んだ感じです。


ますます医療専門分野へのシフトが加速するドラッグストア業界。
生き残るためには“巨大化”か“独自性”のどちらかが必須になっていくでしょうね。