今そこにあるアトピー


先日、薬剤師会の研修会で、市立病院の皮膚科医師による「アトピー性皮膚炎」に関するものがありました。

アトピーの基本


アトピーとは、皮膚のバリアー破壊・障害によって、アレルゲンなどの侵入や水分の消失(皮膚の乾燥)を引き起こす病態です。

塗布量の基準


“FTU”は“Finger tip unit(フィンガーチップユニット)”の略です。“1FTU”はチューブ型の軟膏を指の第一関節まで出したときの量をあらわします。これで0.5g程度といわれています。ローションタイプのときは、1円玉ぐらいの大きさを基準にします。

この“1FTU”で手のひら2枚分が塗布の目安となります。例えば、塗布回数が1日1回、患部が手のひら2枚分ぐらいなら、5gチューブ1本で10日分で使い切るぐらいが適切といえます。

ちなみに“手のひら1枚分”は“体表面積の1%”にあたります。

プロトピックについて


使用初期は塗布時に痛みや刺激感があるので注意が必要です。ただ、分子量が大きいため症状が良くなっていくとあまり入らなくなり、刺激も和らいでいきます。

ステロイドのように皮膚委縮や血管拡張を生じないので、顔面の使用に向いていますが、ヘルペスや細菌の感染リスクに注意する必要があります。塗布する前には、必ず手を洗うことが重要です。

その他の薬


レスタミンのような抗ヒスタミン薬は、間欠使用よりも連続使用の方が効果が良いようです。塗ったり塗らなかったりよりは、ある程度症状がよくなるまで続けて使用した方がよいでしょう。

乳幼児のかぶれなどにアンダーム軟膏が処方されるケースがありますが、逆にかぶれの原因になったり、アトピーを悪化させたりすることがあるので、安易な使用は危険です。

アトピーの症状が治まった後の、状態維持にはヒルドイドのような保湿剤が有効です。入浴は体の表面のバリアを一時的になくすので、保湿剤等を入浴後に塗るときは風呂から出て5分以内ぐらいに塗ると効果的です。

雑感


ヒルドイドなどの保湿剤は入浴後に塗布するように指導してましたが、5分以内とか、そんなにすぐに塗らないといけないものだとは知りませんでした。

また、ブフェキサマク配合の軟膏はOTCでも売っており、“非ステロイド=安全”というような感じで安易に売ってしまいがちな気がします。アンダーム軟膏によるかぶれは、以前にも何かで見たことがありましたが、皮膚科の医師が話すとやっぱり説得力が違いますね。これからはもっと慎重に接客しないといけないと感じました。