数量ベースと金額ベースではどっちがいいのか?

医療費を抑制するためには金の話は避けられない


最近思う。
数量ベースでのインセンティブでは医療費は抑制されないだろう、と。

今月の日経DIのInside Outsideにも載っていたが、やっぱり金額ベースで話を進めるべきである。

数量ベースの落とし穴


数量ベースを上げても医療費が抑制されないことを3つの例で示してみる。

【 パターン 1 】

イソバイド (90mL分3 30日分) → 後発品

  • 数量ベース…2700
  • 金額ベース…0円

【 パターン 2 】

メチコバール錠 (3錠分3 30日分) → 後発品

  • 数量ベース…90
  • 金額ベース…1500円

【 パターン 3 】

ゾビラックス錠 (3錠分3 5日分) → 後発品

  • 数量ベース…15
  • 金額ベース…5450円


数量ベースでインセンティブを設定したとき、薬局としては最も数量を稼げるパターン1をまず考えるだろう。
パターン2はメチコバール錠自体が後発品であるから、これをさらに安い後発品に変更するメリットはない。
パターン3のような短期処方では数量が稼げないので、今後優先順位は下がるだろう。


非常に極端な例だが、数量にこだわっても医療費抑制の効果は薄いということだ。

本来目指すべき姿


もう一度、なぜ後発品の使用を促進しようとしているのかを思い出してほしい。

高騰する医療費を抑制するためだろう。

ならば、パターン2やパターン3のような変更を進める薬局をもっと評価すべきだ。特にパターン2は現状の処方せん変更割合でも評価の対象にならないし、数量ベースでも蚊帳の外である。しかし、確実に医療費は下がる。このあたりの矛盾点をどうするのか?

数量ベースで誰が喜ぶか


これは後発品メーカーだろう。
数量ベースが増えれば、出荷ベースも増えて、後発品メーカーが儲かる。そんなとこだろう、と勘繰りたくもなる。

本気で医療費を抑制する気持ちがないから、後発品のどんな施策も進まないし、国民の理解も得られないのだ。